読書亡羊

気ままに読書、気ままな読書日記

井伏鱒二『山椒魚』(1929)

*度重なる改稿 初出は『幽閉』という題で、1923年(大正12年)に早稲田の同人誌に発表されたもの。その後、大幅に改稿されて、1929年(昭和4年)、『山椒魚』という題で再発表された。 現在、一般的に読まれているものは、この昭和4年発表時のもののようだ…

Benedictus De Spinoza『神学・政治論』(1670)

*思想・表現の自由を保障するための条件 スピノザといえば。。。 人格神を認めない理神論・汎神論と自由意思を否定した徹底した決定論——— という印象が強いが、実際、スピノザの著作に触れてみると、どうもそんなに単純ではないようだ。 こうした教科書的理…

Franz Kafka『アメリカ』(1927)

*『アメリカ』という題名 この作品は、カフカの親友マックス・ブロートによってカフカの遺稿が編纂され、1927年に『アメリカ』という題で出版された。 現在では、『失踪者』という題で出版されているが、どうも自分には、この『アメリカ』という当初の題に…

Franz Kafka『審判』(1925)

*「日常」という目に見えない負担 Kにとって訴訟とは何だったのか。 この訴訟には、終わりも見えなければ、進展も見えない。それでいて、生きている以上、ずっとつきまとって離れないものだ。ただ重い負担となって、ずっとKにのしかかっている。 Kの生活は…

カフカ短編小説 その2

広告 // 『皇帝の使者』 死の床にある皇帝が、一介の市民に過ぎないあなた(Du)に宛てて伝言を送る。だが、その伝言を預かった使者は、懸命に駆け続けているにもかかわらず、決してあなたにたどり着くことはない。何千年もの間。。。 それでもあなたは、皇…

カフカ短編小説

カフカは、未発表や未完成作品を含めて、数多くの短編を残した。カフカの短編小説の多くは、寓話(parable)と呼ぶべきものであって、話の筋や流れ自体にほとんど意味がない。そのため、その話が何を物語っているのか、いろいろと解釈する必要がある。 実存…

仏教の理論

J・ゴンダ『インド思想史』のまとめ続き。今回は仏教について。 *ブッダの不可知論 ブッダは悟りを開いた当初、自らが達した解脱智を人々に説くことを躊躇していた。しかし、世俗化する祭式主義と出家などの苦行主義とに両極化する中で、人々が苦しみの中に…

Jan Gonda『インド思想史』(1948)

インド北西のインダス川流域では、紀元前2600年頃からインダス文明が発展した。この文明は紀元前1800年頃には衰退し、それと入れ替わるような形で、紀元前1900年から1700年を境にヴェーダ期と呼ばれる新たな文化が形成されていく。 紀元前1200年頃からは、ア…

中村元『ブッダ伝 生涯と思想』(1995)

*ブッダ本来の教えを知る ガウタマ・シッダールタは、紀元前五世紀頃、インド北部、ネパール国境付近のシャーキャ国の王族として生まれ、29才で出家、6年間の修行ののちに悟りを開き、その後は80才で入滅するまで北インドを中心に45年間説法をして廻った。 …

菅野完『日本会議の研究』(2016)

安倍首相をはじめとした保守系の政治家に大きな影響力を持つと言われる「日本会議」。 2014年に発足した第三次安倍内閣では、全閣僚19人中、16人までもが日本会議に所属している。 しかしながら、その実態がほとんど謎に包まれていた。本書では、この「日本…