読書亡羊

気ままに読書、気ままな読書日記

Franz Kafka『アメリカ』(1927)

*『アメリカ』という題名 この作品は、カフカの親友マックス・ブロートによってカフカの遺稿が編纂され、1927年に『アメリカ』という題で出版された。 現在では、『失踪者』という題で出版されているが、どうも自分には、この『アメリカ』という当初の題に…

Franz Kafka『審判』(1925)

*「日常」という目に見えない負担 Kにとって訴訟とは何だったのか。 この訴訟には、終わりも見えなければ、進展も見えない。それでいて、生きている以上、ずっとつきまとって離れないものだ。ただ重い負担となって、ずっとKにのしかかっている。 Kの生活は…

カフカ短編小説 その2

『皇帝の使者』 死の床にある皇帝が、一介の市民に過ぎないあなた(Du)に宛てて伝言を送る。だが、その伝言を預かった使者は、懸命に駆け続けているにもかかわらず、決してあなたにたどり着くことはない。何千年もの間。。。 それでもあなたは、皇帝の伝言…

カフカ短編小説

カフカは、未発表や未完成作品を含めて、数多くの短編を残した。カフカの短編小説の多くは、寓話(parable)と呼ぶべきものであって、話の筋や流れ自体にほとんど意味がない。そのため、その話が何を物語っているのか、いろいろと解釈する必要がある。 実存…

仏教の理論

J・ゴンダ『インド思想史』のまとめ続き。今回は仏教について。 *ブッダの不可知論 ブッダは悟りを開いた当初、自らが達した解脱智を人々に説くことを躊躇していた。しかし、世俗化する祭式主義と出家などの苦行主義とに両極化する中で、人々が苦しみの中に…

Jan Gonda『インド思想史』(1948)

インド北西のインダス川流域では、紀元前2600年頃からインダス文明が発展した。この文明は紀元前1800年頃には衰退し、それと入れ替わるような形で、紀元前1900年から1700年を境にヴェーダ期と呼ばれる新たな文化が形成されていく。 紀元前1200年頃からは、ア…

中村元『ブッダ伝 生涯と思想』(1995)

*ブッダ本来の教えを知る ガウタマ・シッダールタは、紀元前五世紀頃、インド北部、ネパール国境付近のシャーキャ国の王族として生まれ、29才で出家、6年間の修行ののちに悟りを開き、その後は80才で入滅するまで北インドを中心に45年間説法をして廻った。 …

菅野完『日本会議の研究』(2016)

安倍首相をはじめとした保守系の政治家に大きな影響力を持つと言われる「日本会議」。 2014年に発足した第三次安倍内閣では、全閣僚19人中、16人までもが日本会議に所属している。 しかしながら、その実態がほとんど謎に包まれていた。本書では、この「日本…

水村美苗『日本語が亡びるとき』(2008)

*消えていく言語 一説では、現在世界に5000から8000の言語が存在しているといわれる。数え方にもよるが、少なくとも3000近くあると見るのが一般的らしい。 世界には多種多様な言語が存在しているが、それと同時に消滅の危機に瀕している言語も数多く存在し…

辻井喬・上野千鶴子『ポスト消費社会のゆくえ』(2008)

辻井喬こと堤清二と上野千鶴子の対談本。 80年代の消費文化を牽引した西武百貨店を中心としたセゾングループのお話。 2008年の出版で、この対談が行われた年は、長引くデフレ経済で景気はどん底、金融危機のあおりで株価もどん底、という消費文化の低迷が濃…