読書亡羊

気ままに読書、気ままな読書日記

ボゼ - 鹿児島悪石島の奇祭

ボゼは、鹿児島県トカラ列島の悪石島に伝わる来訪神行事である。奇祭として知られており、1989年(平成元年)3月22日に、指定名称十島村悪石島の盆踊りとして、鹿児島県の無形民俗文化財に指定された。

盆の最終日翌日にあたる旧暦7月16日に、若者が赤土と墨で塗られた異形の面を被り、ビロウの葉の腰蓑を巻き、手首や足にシュロの皮をあててボゼに扮し、手には男根を模したボゼマラという長い棒を持つ。- Wikipedia


 以前、鹿児島市内の博物館を訪れたとき、ボゼの存在を知ってかなりな衝撃を受けたのを覚えている。

 そこには、ボゼの仮面装束が展示されていたのだが、それは明らかに日本離れした意匠で、東南アジアポリネシアの文化を思わせるものだった。

 そのほかの展示は、他の民俗博物館などでよく見た民俗風習の類いで、特段珍しいとも思わず、流し見で通り過ごしていた。だが、その最後の一画に来て、ボゼの展示に出くわしてしまった。
 平日の午前だったこともあって、そこには自分ひとりしかいない。これ幸いと思って、そこに居座って、長いことぼーっと魅入ってしまった。

 ボゼを展示しているその一画だけが、異様な雰囲気を湛えていて、明らかに他とは違う異質な空間を作り上げていた。ボゼの姿は、不気味で非常にうす気味悪い。だが、同時に、その姿に何か言い知れない魅惑のようなものを覚えた。

 帰ってから気になって、ボゼについていろいろと調べてみたが、あまりたいした情報が見つからない。適当な書物も見つけられなかった。

 悪石島はトカラ列島に位置し、鹿児島と奄美大島の大体中間辺りにある。
 地元の島民からすれば、ボゼをはじめとした独特な地域文化は、非常な観光資源だと思うのだが、あまりに交通の便が悪すぎて、普段、島を訪れる人はほとんどいないらしい。そもそも悪石島の人口は、60人程度(2012年現在)で、観光客を受け入れるだけの設備もないようだ。

 ボゼの姿の薄気味悪さもあるが、悪石島(あくせきじま)という島の名前からして凄い。横溝正史かなんかの小説みたいで、行ったら最後、帰って来れなくなりそうだ。いかにも人を遠ざけているかのような島だ。
 だからこそ、外部からの影響に邪魔されずに、日本の文化からは極めて異質な、さらには、沖縄の文化からすらも異質な、独特の風習を今に残してこれたのかもしれない。まるで進化から取り残されたガラパゴス島のようだ。
 全然調べてないので、何の根拠もないのだけれども、ポリネシアとのつながりを思わせるようで、非常に興味深い。太平洋を島伝いに、南方から文化のつながりがあったとか、勝手な想像するととても面白い。

 近隣の島でも類似の奇祭が行われていたようだが、今では、すでに姿を消してしまったらしい。だが、悪石島では、こうした奇祭が地元の人たちの手によって、今に伝承されてきた。このまま、メディアや外からの観光客に邪魔されずに、今の形を将来に残していってもらえることを切に願う。

 。。。でも、一度くらいは生で見てみたいなぁ。だって、こんなんですよ、こんなん↓

f:id:hobo07:20151030114937j:plain鹿児島県HPより)