読書亡羊

気ままに読書、気ままな読書日記

川口一晃『儲けるための株価チャート練習帳』 (2007)

 190ページ程度とかなり薄い本。
 テクニカル分析について、初心者が最低限抑えておけばよい点をコンパクトにまとめてあって非常に便利。余計な記述もほとんどなく絞った内容なので、テクニカル分析がどのようなものなのか、その全体像を捉えるのに最初に読む本として向いていると思う。
 さらに詳しい分析手法やその他の方法を知りたいという中級者には少し物足りない内容かもしれない。

 しかし、実際の分析方法を見てみると、かなりな時間と労力を要するものだと感じた。分析をプログラムで自動化するサービスもあるようだが、それが当たるなら誰もがそれを利用するはずだし、分析にはやはり個人的な経験に基づく技術が要求されるもののように感じる。

 テクニカル分析の特徴は主に二つ上げられると思う。
 一つは、テクニカル分析はすべての情報の価値は、株価に織り込まれているという前提で行われるということ。なのでチャート以外の情報は分析の対象としない。
 そして二つ目は、過去の株価のデータから帰納法的な手続きによって値動きのパターンを導く方法論だということ。したがって、過去の株価のデータがない新規上場株は分析できないということになる。

 この前提の下で、さまざまな分析手法や計算式が開発されているのだが、どのテクニカル分析が有効かということ以前に、この前提そのものを疑ってしまうとテクニカル分析そのものが成り立たなくなる。
 テクニカル分析は、帰納法によって値動きを類型化して未来を予測しているだけであって、過去の値動きに従わない銘柄など往々にしてあるだろう。また個人が持つ情報には格差があり、株価にすべての情報が反映されるというのは結果として言えることに過ぎない。こうしたことを考えると、ニュースを聞いてファンダメンタルを分析したほうが、まだ面白いと思う。よほど数字大好きというような数学マニアでなければ、続かないんじゃないだろうか。

 個人的にはテクニカル分析に対しては懐疑的なので、ほんの参考程度に留めておくべきだと思う。テクニカル分析がこういうものだということが分かっただけでも本書を読んだ価値はあったと思う。